ガンプラのディティールをさらに向上させるテクニックの一つ、「スジ彫り」
本記事では初心者の方でもわかりやすいように、スジ彫りのやり方や必要な道具についてを紹介していきます。
ガンプラの組み立て方や、スミ入れなどガンプラの作り方についても他記事で紹介しておりますので、ぜひそちらもご参考ください。
目次
スジ彫りについて
スジ彫りとは、プラモデルの表面を先の細い彫刻刀などで彫る事で、パーツの段差や溝(モールド)を際立たせ、さらに立体感のある質感に仕上げる技法です。
スジ彫りをする事によるメリット
スジ彫りを行う事で完成後の質感が変わる他にも以下のようなメリットがあります。
- ヤスリがけで埋まってしまったモールドを復活させる。
- モールドを深く掘る事でスミ入れが流し込みやすくなる。
- 新しいモールドを作る事で、一枚のプラスチックで構成されたパーツをまるで別パーツ同士が重なり合っているように表現する。
スジ彫りに必要な道具
熟練者の型は様々なスジ彫り専用ツールを使いこなしていますが、100円ショップで購入できるような文具や工具でも十分スジ彫りは行えます。
- ケガキ針(彫る)
- マスキングテープ(彫る時のガイド替わり)
- ヤスリ(彫った後を整える)
※「ケガキ針」とは金属の表面に傷や目印をつけるための工具ですが、プラスチック表面に傷をつけられるものならカッターナイフやデザインナイフなどで代用可能です。
最低でも以上3点があれば初めての方でもスジ彫りを始められます!
本記事ではこれらの道具を使って実際にスジ彫りをして解説していきます。
さらに慣れてきたら専用ツールもおすすめ
スジ彫りで主に使っていく彫るための道具は、プラモデル用に作られたものも販売されています。
より美しく仕上げたい方はこれらの専用ツールを利用することをおすすめします。
- タングステン刃など硬度の高い刃はスムーズに彫れる
- ガンプラでおすすめな刃幅は一般的に0.15~0.2mm
- 手に持って作業しやすい形状のもの
ハセガワ(Hasegawa)モデリングスクライバー けがき針 (TT1 )
ペンタイプの形状で握りやすく、程よい細さでオールラウンドに使用できます。
TOMMYFIELD スジボリ タガネ プラモデル 筋彫り bmcタガネ
グリップが少し大きめですが、刃幅の違う刃先を変える事が可能です。
CMD タガネ スジボリ ラインチゼル 彫刻刀 0.15MM
持ち手が小さく扱いが難しいですが、刃も硬く彫りやすい他、細かい部分のスジ彫りにも活用できます。
スジ彫りの手順
ここからは実際に道具を使って「HGUC 1/144 RX-78-2 ガンダム」のスジ彫りを行っていきます。
スジ彫りのおおまかな手順は下記のようになっています。
- 彫るパーツを分解する
- 彫りたい場所を決める
- マスキングテープの縁に沿って彫る
- モールドの周りをヤスリでととのえる
STEP 1:彫るパーツを分解する
画像では胸パーツのスジ彫りを行っていくので、パーツを壊さないように腕や腰などの他のパーツを外していきましょう。
STEP 2:彫りたい場所を決める
パーツを分解したら次に彫りたい場所をどこにするか決めていきましょう。
ちなみに、スジ彫りは「どこをやらないといけない」といった明確なルールは特にありません。
迷う場合は、公式のメカニックイラストなどを参考にしたりしてもいいでしょう。
出典: g-doan.net
もちろん、自分なりの解釈でモールドを追加するのも醍醐味の一つです。
今回は簡単なスジ彫りを施していくので、画像の赤線の部分を彫っていきます。
初めての場合はあまり長くない、直線のモールドの方が彫りやすいです。
イメージした場所を真っすぐ彫れるようにマスキングテープをガイド替わりに貼っていきます。
画像の赤線で示しているように、テープの縁に沿って彫っていくイメージです。
STEP 3:マスキングテープの縁に沿って彫る
テープの縁に沿って、最初はペンでなぞる様な力加減でケガキ針を入れていきます。
何度か往復させていくと右の画像のようにプラスチック表面に傷ができるので、それからはみ出さない様に少し力を入れ、はっきりと溝ができるように彫っていきましょう。
スジ彫り用タガネなどを使う際は、ケガキ針→タガネの順番で使っていきましょう。
STEP 4:モールドの周りをヤスリでととのえる
彫っていく際にできた余分な傷や削り跡をヤスリで整えて表面を綺麗にすれば完成です。
画像では完成形がわかりやすいように実際にスミ入れをしています。
スジ彫りをしてみた結果
スジ彫り前の左画像と比較すると、スジ彫り後のパーツは複数の装甲が組み合わさっているようなメカニカルな印象にディティールアップする事ができました。
実際に組み上げてみると、ライティングや構図の違いがありますが、スミ入れまでを行った左画像よりもよりシャープでメカニカルな印象に仕上がりました。
STEP1~4で紹介した箇所以外の赤丸部分にも追加でスジ彫りをしていますが、ほんの数か所に手を加えるだけでもがらりと印象を変える事が可能です。
パーツを削るという特性上、ハードルが高い印象もあるスジ彫りですが、塗装やスミ入れから一歩進んだテクニックとしてぜひチャレンジしてみましょう!
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